4月14日にIR推進本部の会合が開かれ、カジノを含むIR(統合型リゾート)の整備計画が正式に認定されました。予定どおり進めば、2029年秋に日本初となるカジノ施設が誕生します。
IR(統合型リゾート)計画とは
IRとは、複数の施設を統合したリゾートを指します。日本では、大阪の「夢洲」に甲子園球場約13個分の敷地をもつIRが建設される予定です。
集客の目玉となるのはカジノですが、全体に占める面積の割合は3%もありません。国際会議場や展示場、ホテル、シアターなどさまざまな施設にも注目が集まります。
初期投資額はおよそ1兆800億円です。対して、年間の来場者は2,000万人、IR全体の売り上げはおよそ5,200億円と見込まれています。
注目のカジノ施設!全貌が明らかに
IRの収益性源となるのはやはりカジノでしょう。発表によると、売り上げの約8割をカジノが占める見通しとなっています。
カジノ内は、消費額に応じて「マス」「プレミアム」「VIP」の3フロアを設置。ルーレットやバカラといったテーブルゲームが約470台、スロットマシンなどを6,400台配置する予定です。各テーブルにはディーラーが配置される本格的なカジノを目指しています。
各所には、飲食店や酒類を提供するサービスバーも設けられるため、本場のような雰囲気を味わえるでしょう。
収容人員は約1万人。日本人の入場料は6,000円、外国人客(インバウンド)は無料で利用できます。もちろん、20歳未満の入場は禁止です。
懸念されるギャンブル依存と対策
カジノ施設ができることで懸念されている問題が依存症です。パチンコやパチスロをはじめ、ギャンブル依存は社会問題となっています。
集客のメインとなるのは、パチンコやパチスロを楽しむユーザーでしょう。実際に、オンラインカジノプレイヤーの80%以上が、パチンコやパチスロをプレイしているというデータもあります。
参考:オンラインカジノ 参加者の8割以上がパチンコ・パチスロプレイヤー
パチンコ、パチスロ依存の相談が増えている中で、明確な制限や対策が求められます。
これに対して、斉藤国土交通大臣は「国土交通省としては、大阪の計画に盛り込まれている依存症防止対策が確実に実施されるよう、各機関とも連携しつつ計画の実施状況を十分に確認していきたい」と述べました。
課題山積みのIR建設、党内・国民ともに賛否の声
IRへのカジノ建設に対しては、賛否が大きくわかれています。
反対派からは、依存症の問題が心配されていました。党内でも依存症による生活破綻者の増加を問題視する声があります。一方、賛成派には、経済効果や外貨の流入に期待する声が多くみられました。
「IR=カジノ」という争点で賛否が繰り広げられていますが、そもそもIRの魅力はカジノだけではありません。カジノへの懸念は十分に理解できますが、カジノの賛否がIR自体の建設まで左右する現状には違和感を覚えます。
具体的な対策を発表して国民を納得させられるかが、今後の進展で鍵を握るでしょう。本格的な建築をはじめる前に、政府からの明確な説明が求められます。